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Forbes Asia December 2017 掲載記事全文 21世紀の「ノアの箱舟」がフィリピンに到来

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21世紀の「ノアの箱舟」がフィリピンに到来

Forbus記事 (日本語訳)

Forbes Asia Edition [SG] December 2017 (単号)

 

フィリピンのドゥテルテ大統領の故郷であるミンダナオ島で、世界的に非常に画期的な試みがなされようとしている。

 

ミンダナオ島北西部のザンボアンガ・デル・ノルテ州セルジオ・オスメニアで「オーガニック・オスメニア2020」というイベントが2017年8月22日に開催された。

 

「オーガニック・オスメニア2020」とは、この地域の農業を2020年までにすべて有機栽培にするという目標を掲げたスタートアップイベントである。

 

農業食料委員会上院議長のシンシア・ヴィラー上院議員、ザンボアンガ・デル・ノルテ州選出のセス・フレデリック・ハラショス下院議員をはじめ、この地域の8つの市の市長、観光省・農林水産省国土交通省労働省・TESDA(フィリピンにおける専門的教育と技術の向上機関)の職員たちが一堂に会した。

 

ミンダナオ島の39の自治体から700名を超える有機栽培の農民たちが集い、農薬を使用しない有機栽培の重要性について議論が交わされた。

 

この有機農業推進イベントには、主催者の期待どおり、地域全体から数多くの農場主や農家の方々が参加したが、「オーガニック・オスメニア2020」が他のイベントと一線を画すのは、国家の農業部門を成長著しいフィンテック部門と初めて融合させたことだ。

 

ブロックチェーン(すべての暗号通貨の取引をデジタル化した分散型台帳)を基幹技術とするフィンテックは、近年多くの注目を集めてきた。

 

世界を席巻するデジタル技術革新の中でも、もっとも破壊力を持っているのが、ビットコインのような暗号通貨であることは間違いない。

 

暗号通貨はビジネスや個人間の取引において毎年急速に成長を続けている。

 

現在、世界には数千種類もの暗号通貨が存在するが、ノアアークコインはオーガニック・オスメニア2020に参加したような農家の人たちの取引や流通の媒体となることを目指している。

 

この新たな暗号通貨ノアアークコインのフィリピンでの展開はアーク・システムズ・テクノロジー社が取り仕切っている。

 

同イベントで同社のクラーク・ロバートソンCEOは「グロウカート」の開発を発表した。これは有機栽培を行う農民たちと、スーパーマーケットやレストランのような小売業やサービス業、ならびに消費者たちを直接結びつける専用のアプリである。

 

アーク・システムズ・テクノロジー社の マーティン・サルバドールCOOもまた、ブロックチェーン技術やノアアークコインを用いて農家の人たちの生産管理、流通統制、販売管理のインフラを整備すると発表した。

 

ノア・ソーシャル・イノベーションファウンデーションは、有機農家の人たちが安全な農作物を、卸業者を介さずに、小売業者や消費者に直接届けることができれば、収益性と生産性がより高まると考える。

 

このことは結果的に有機農業への投資の増加と、ひいては生産高の向上につながるのだ。

 

そして、安全な有機農産物を農家から直接購入できるのは、すべての消費者にとっても喜ばしいことである。

 

グロウカートとノアアークコインという2つの先駆的なイノベーションを通して、農家の人たちを貧しい自給農業から救い出せるのである。

 

そのうえ、ノアアークコインの目的は有機農業だけにとどまらない。

 

ミンダナオ島は数多くの美しいビーチがあることで有名だが、観光に関して言えばまだ発展途上にある。

 

富裕層の観光客を対象にした初めてのリゾート地のひとつダカックビーチリゾートはディポログ空港から車でわずか30分の場所にあり、絵に描いたように美しい歴史的なダピタン市に位置している。

 

このリゾートのオーナーはオーガニック・オスメニア2020の最大の支援者の一人でザンボアンガ・デル・ノルテ州選出のセス・フレデリック・ハラショス下院議員である。

 

ビーチを囲んで50の美しいバリ風のヴィラが立ち並び、インフィニティプールやレストランやスパも完備。ハラショス下院議員の父によって着手された50年に及ぶ開発計画は完了間近だ。

 

リゾートの目玉にはゴルフ界のレジェンドであるグレッグ・ノーマンの設計したゴルフコースや、フィリピンでトップ5に入るような遊園地や、アジア最長のジップラインがあり、映画館やショッピングセンターもある。

 

ハラショス下院議員の発表によると、ノア・ソーシャル・イノベーションファウンデーションとの提携のもと、敷地内の未開発部分がノアリゾートへと姿を変え、開発済みのダカックビーチリゾートも含めて、2018年6月からノアアークコインでの支払い対応も開始される。

 

ビットコインでの支払いに対応する従来型ビジネスは世界中でどんどん増えているが、ひとつのアルトコインがリゾートエリアすべての施設での決済に使用できるということは世界でも類を見ない。

 

グロウカートでの流通革命に加えて、ノアアークコインがノアリゾートおよびダカックビーチリゾートでの支払いに使用され始めれば、結果としてミンダナオ全体の至る所でも使われるようになり、ノアアークコインの普及は急速に広がると、開発者たちは自信を見せる。

 

「ミンダナオは本当に安全で平和で美しい島であるにもかかわらず、マラウィでの暴動の影響で非常に危険な地域だと思っている外国人が非常に多い。

 

ノア・ソーシャル・イノベーションファウンデーションとの提携により、この汚名が払拭され、ミンダナオ島に多くの観光客が訪れることを期待しています」とハラショス下院議員は語る。

 

「また、ドゥテルテ大統領が推進しようとしている海外からの直接投資によって、この地域の発展が加速度的に進むことを望んでいます。

 

特に、ノアアークコインを通して、多くの日本人にミンダナオを訪れて欲しいと思います。ノアアークコインは、日本とフィリピンの懸け橋になると私たちは考えているのです。

 

将来的には日本語学校を設立して、日本語を話せるフィリピン人を育て、日本からのお客様をもてなすシステムを用意するつもりです。

 

もともと日本はこの地域の発展に不可欠な役割を果たしてくれたのですから」と強調した。

 

フィリピンのミンダナオ島では、ノアアークコインは地域開発とフィンテックを結びつける1つのモデルケースと考えられているが、アーク・システムズ・テクノロジー社はマニラでの計画も明らかにした。

 

ダカックにおける開発プロジェクトのシティ版「ノアシティ」が、マニラ湾沿岸の埋立地プロジェクト「ホライゾン・マニラ」に建設される予定だ。

 

ノアリゾートと同じく、ノアシティでもノアアークコインが利用できる。

 

「ホライゾン・マニラ」はそれぞれ約140ヘクタールの広さの人工島3つから構成され、トータル419ヘクタールもの敷地面積を持つ。

 

地元自治体であるマニラ市政府と、海洋建築のリーディングカンパニーであるヤン・デ・ヌルグループと、成長著しい建築会社Jブロス・コンストラクション・コーポレーション社が中心となった共同事業である。

 

ホライゾン・マニラ・プロジェクトは規模の大きさで多くの注目を集めている。

 

近隣のアセアナ・シティとマカティの中央ビジネス地区はそれぞれ200ヘクタールで、ボニファシオ・グローバル・シティでも238ヘクタールであることを考えれば、どれほど巨大なプロジェクトであるかは容易に計り知ることができる。

 

2017年9月30日、ノアプロジェクトとJブロス・コンストラクション・コーポレーション社は、ホライゾン・マニラ開発プロジェクトの一部として、ノアシティを建設する契約を締結した。

 

ミンダナオのノアリゾートにしろ、マニラのノアシティにしろ、ノアアークコインの利用が広く普及するにつれ、日本を中心とした海外からの巨額の資金を呼び込み、ホライゾン・マニラでの投資が増え、マニラ市の発展が加速することを同社は願っている。

 

ノアアークコインは日本とフィリピンの経済的な結びつきを強めるポテンシャルを持つ暗号通貨であることに対して、最近多くの注目を集めている。

 

フィリピンが抱える特有の問題のひとつが、フィリピン人海外出稼ぎ労働者(OFW)による国内家族への送金である。

 

OFWからの送金額は毎年260億米ドルを超えると推定されていて、これはフィリピンの国内総生産の約10%にも相当する。

 

しかもOFWの数は年々増え続けていて、それにともない、その金額も年々増加している。

 

そのような数多くのOFWの負担となっているのが、送金手数料、変動的な為替レート、送金時間の遅延、セキュリティの問題だ。

 

住んでいる場所によっては、高額の送金手数料や不利な為替レートにより、国内の家族へ送る金額が大幅に目減りしてしまうのを、OFWは頻繁に経験してきている。

 

フィリピン最大のブロックチェーン企業サトシ・シタデル・インダストリーズ(SCI)社と、日本のフィンテック企業NIPPON PAY社との技術・サービス提携により、ノアアークコインは、特に日本在住のOFWが抱えるこの状況を改善しようとしている。

 

SCI社とNIPPON PAY社は、共通の暗号通貨の利用を通して、日本に住むOFWの肩にのしかかる高い手数料を完全に取り除こうとしているのだ。

 

OFWはNIPPON PAY加盟店に行き、決済端末を通してSCIが運用するプラットフォーム「ノアアークウォレット」にアクセスし、日本円をノアアークコインに両替できるようになる。

 

交換したノアアークコインは、自分のウォレットから、フィリピンの家族のウォレットへと、即座に送ることができる。送金に一切の手数料はかからない。

 

フィリピン側でノアアークコインを受け取ったOFWの家族は、自分のウォレットに入っているノアアークコインをフィリピンペソに替えて、自分の銀行口座に入金したり、銀行のATMで引き出したりできる。  

 

さらには、ウォレットから直接、水道光熱費や学費、健康保険料の支払いもできるようになるのだ。

 

日本でのこのモデルをプロトタイプとして、最終的には、ノアアークコインを世界中のあらゆる通貨と両替できるようなインフラを作り上げたいと、ノアプロジェクトは考えている。

 

<写真>マニラ湾の壮大な埋立地開発を正式決定するため、ジョセフ・エストラーダマニラ市長(左から4番目)と面会するホライゾン・マニラの代表者たち。

 

「フィリピンは成長著しい新興国として世界から注目を集めていますが、依然として様々な社会問題があります。一方、日本は世界的に前例のない未曾有の少子高齢化に直面しています。

 

日本の人口が縮小するにともない、日本経済も縮小することが予測されています」とノアアークコインのプロモーターの泉忠司氏は言う。

 

「僕はフィリピンと特別な関係を持つ日本で生まれ育ちました。両国は二国間経済協定を結んでいます。現在マニラ在住でフィリピンという国の素晴らしさを実感している人間として、フィリピンの社会問題解決の手助けとなり、同時に、日本経済への起爆剤となりうるノアコインの普及を通して、日本とフィリピンの架け橋になれれば、こんなに嬉しいことはありません」と泉氏は語った。 

Forbes Asia Edition [SG] December 2017 (単号)

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